作業環境測定士試験 (労働衛生一般)

(平成15年8月 実施分)

問1  化学物質の有害性に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 有害性が発現するか否かは、標的臓器の作用部位での化学物質の量によっ
 て決まる。
2 50% 致死量(LD50)または、50% 致死濃度(LD50)は、化学物質の
 慢性毒性の強さを表す指標である。
3 一般の化学毒性の発現には、閾値がある。
4 変異原性は、化学物質による遺伝子DNAの直接障害によって現れる。
5 化学物質の変異原性試験は、発がん性のスクリーニング試験として用いら
 れる。


問2  有害物質の摂取、吸収、代謝および毒性に関する次の記述のうち、誤ってい
るものはどれか。

1 粒子状物質の生体内への侵入経路のうち、作業環境下で取込み量が最も大
 きいのは経気道である。
2 生物学的半減期が長い物質ほど、体内の蓄積性が大きい。
3 ベンゼンは、体内で代謝されてフェノールやカテコールとなり、毒性がさ
 らに高まる。
4 塩化水銀(U)は、メチル水銀よりも神経系の障害を起こしやすい。
5 体内に取り込まれたカドミウムは、肝臓でメタロチオネインという蛋白質
 と結合し、腎臓に蓄積する。


問3  次の有害物質のうち、血液障害を起こさないものはどれか。

1 ベンゼン
2 エチレングリコールモノエチルエーテル
3 トルエン
4 トリニトロトルエン
5 砒化水素(アルシン)


問4  有害物質の健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 カドミウム粉じんの曝露が続くと、初発症状として骨髄障害による貧血が
 みられる。
2 一酸化炭素は、赤血球のヘモグロビンと結合しその酸素運搬作用を阻害す
 るため、脳の組織は酸素欠乏の状態となる。
3 シアン化水素は、細胞内の呼吸酵素であるチトクロームオキシダーゼの作
 用を抑制するため、細胞内の酸化過程が阻害され、組織は化学的な窒息状態
 となる。
4 硫化水素は、細胞内の呼吸酵素であるチトクロームオキシダーゼの作用を
 抑制するため、細胞内の酸化過程が阻害され、組織は化学的な窒息状態とな
 る。
5 トリレンジイソシアネート(TDI)に感作された人は、低濃度の曝露でも気
 管支喘息を起こす。


問5  鉱物性粉じんに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 固体物質が破砕されて生じた微細な粒子のうち、粒径が 7.07 μm 以下の
 ものは、吸入性粉じんと呼ばれる。
2 炭酸カルシウムの粉じんは、タルク粉じんよりも有害性が低い。
3 ろ過材の粉じん捕集効率は、粒径によって異なり、慣性衝突、重力沈降、
 さえぎり効果、拡散効果等によって影響される。
4 鉱物性粉じんの空気力学相当径は、光学顕微鏡による粒径測定によって求
 めることができる。
5 遊離けい酸を含まない鉱物性粉じんの管理濃度は、2.9 mg/m3 である。

問6  作業環境における発がん物質Aとそれによって起こるがんBとの次の組合せ
のうち、誤っているものはどれか。

     A         B
1 ニッケルカルボニル  肺がん
2 ジアニシジン      尿路系腫瘍
3 ベンゼン        白血病
4 ベンゾトリクロリド   胃がん
5 塩化ビニル       肝血管肉腫


問7  次の有害ガスのうち、食糧、土壌の燻蒸剤として用いられ、中毒症状として
めまい、おう吐等を、さらに重症では痙攣、せん妄等の神経障害を起こすもの
はどれか。

1 オゾン
2 ホルムアルデヒド
3 エチレンオキシド
4 ホスゲン
5 臭化メチル


問8  金属およびその化合物Aとそれによって起こる健康障害Bとの次の組合せの
うち、誤っているものはどれか。

    A         B
1 亜鉛         歯牙酸蝕
2 クロム酸      鼻中隔穿孔
3 ベリリウム     肺肉芽腫
4 五酸化バナジウム  気管支炎
5 四アルキル鉛    せん妄、幻覚等の精神障害


問9  有機溶剤による健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 ノルマルヘキサンは、多発性末梢神経炎を起こす。
2 トリクロロエチレンは、中枢神経系を抑制する。
3 二硫化炭素は、精神障害を起こす。
4 スチレンは、赤血球を破壊して貧血を起こす。
5 メタノールは、視神経に障害を起こす。


問10  温熱条件に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 温熱感覚は、気温、湿度、気流、放射(ふく射)とエネルギー代謝量に影
 響される。
2 実効温度を求めるには、黒球温度、湿球温度、風速の測定が必要である。
3 高温環境下での労働による体温上昇は、皮膚血流の増加と発汗によって抑
 制される。
4 高温環境下では、湿度が高いほど体熱の放散が少なくなる。
5 低温環境下では、湿度が高いほど体熱の放散が多くなる。


問11  騒音測定と聴力検査に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 等価騒音レベルとは、変動している騒音の平均エネルギーと等しいエネル
 ギーの騒音の騒音レベルである。
2 A測定は、騒音計のマイクロフォンを床上 1.2〜1.5 m の高さに設置して
 測定し、B測定は音源に向けて測定する。
3 聴力検査は、検査音の聴取に影響を及ぼさない静かな場所で行い、1000 Hz
 の最小可聴域から測定をはじめる。
4 一過性聴力閾値上昇は、高いレベルの騒音に曝露されたときに起こる生理
 的現象である。
5 定期健康診断における選別聴力検査では、オージオメータによる 1000 Hz
 と 8000 Hz の聴力測定を行う。


問12  手持ち振動工具による健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものは
どれか。

1 手腕振動障害は、およそ 8〜1500 Hzの範囲の振動が関連性をもっている。
2 寒冷曝露は、手指レイノー症状の出現を促進する。
3 喫煙は、手指レイノー症状を促進する。
4 手指レイノー症状は、局所振動以外の原因でも起こる。
5 振動工具の使用によって難聴が起こることはない。


問13  電磁波または音波Aとその曝露によって起こる障害Bとの次の組合せのう
ち、誤っているものはどれか。

    A           B
1 紫外線          角膜炎
2 赤外線         白内障
3 可視域レーザー光線    網膜火傷
4 マイクロ波        白内障
5 超音波          緑内障


問14  次の記述のイ、ロの(  )に入る用語と数字の組合せとして、正しいもの
は下のうちどれか。

 「放射線の内部被ばくの評価では、RIが体内に留まる期間が重要な問題と
なる。
 体内のRI量は、物理的減衰だけでなく、生体の代謝活動で体外に排出され
ることによっても減少する。物理的減衰と代謝による減少を示す指標として、
それぞれ放射性半減期と( イ )半減期が用いられる。そこで全体としてRI
量の減少を表す指標として、実効半減期が用いられる。仮に( イ )半減期が
放射性半減期と等しいとき、実効半減期は放射性半減期の( ロ )倍になる。」

    イ      ロ
1 生物学的   1/4
2 生理学的   1/4
3 生物学的   1/2
4 生理学的   1/2
5 生物学的  


問15  有害物質の発散とその抑制に関する次の記述のうち、誤っているものはどれ
か。

1 ヒュームの一次粒子の粒径は、1 μm 以下である。
2 多段型分粒装置は、空気中に発散した粉じん粒子の沈降速度が粒子の密度
 および粒径に反比例する原理に基づいている。
3 スプレーガンによる塗装では、ミストが発生するが、ミストに含まれる有
 機溶剤のうち、低沸点の成分はスプレー後速やかに蒸気になる。
4 有機溶剤の蒸発量は、一般に空気との接触面積に比例して大きくなるため、
 空気との接触面積を制限することは蒸発の抑制に効果がある。
5 遠心力を利用した除じん装置では、旋回流の角速度が大きいほど除じん効
 率が高い。

問16  次の除じん装置のうち、主に前置き除じん装置として用いられるものはどれ
か。

1 遠心力除じん装置
2 重力除じん装置
3 電気除じん装置
4 洗浄除じん装置
5 ろ過除じん装置


問17  防じんマスクに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 使い捨て式防じんマスクは、規格が定められており、国家検定の対象であ
 る。
2 全面形で隔離式の取替え式防じんマスクであっても、酸素濃度が 18% 未
 満の場所では使用してはいけない。
3 使い捨て式防じんマスクは、使用中の取替え式防じんマスクが使えなくな
 ったとき、その代わりに使用するためのものである。
4 取替え式防じんマスクは、使用の前に、ろ過材等の点検とともに、フィッ
 トテストを行うことが必要である。
5 使い捨て式防じんマスクは、使用限度期間内であっても、型くずれしてい
 たら、廃棄しなければならない。


問18  呼吸用保護具に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 防毒マスクのアンモニア用吸収缶は、アンモニアの濃度が低いと触媒作用
 が緩慢になり、効率が悪い。
2 隔離式防毒マスクは、直結式防毒マスクより使用できる環境空気中の対象
 ガス濃度の範囲が広い。
3 直結式小型防毒マスクの使用範囲は、環境空気中の対象ガス濃度が 0.1%
 以下である。
4 有害ガスの種類と濃度が不明の場合は、給気式呼吸用保護具を使用すべき
 である。
5 送気マスクは、自給式呼吸器と比べると、作業者の行動範囲が狭い。


問19  管理濃度に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 管理濃度は、有害環境下での労働者の労働時間を考慮せずに設定された指
 標である。
2 管理濃度は、許容濃度の値や、作業環境管理技術を考慮して定められた指
 標である。
3 管理濃度は、単位作業場所の作業環境管理が適切であるか否かを評価する
 ために用いられる指標である。
4 管理濃度は、作業環境測定で得られた個々の測定値を統計的に処理したも
 のと対比する方法で使用する。
5 管理濃度は、特定の物質については、天井値として用いるための値も定め
 られている。


問20  日本産業衛生学会からの許容濃度等の勧告に関する次の記述のうち、誤って
いるものはどれか。

1 許容濃度の数値は、労働者が1日8時間、1週 40 時間程度、肉体的に激
 しくない労働に従事する場合を想定した平均曝露濃度を基にして定められて
 いる。
2 曝露濃度とは、呼吸用保護具を装着しない状態で、労働者が作業中に吸入
 するであろう空気中の当該物質の濃度である。
3 最大許容濃度とは、作業時間中のどの時間をとっても曝露濃度がこの数値
 以下であれば、ほとんどの労働者に健康上の悪い影響が見られないと判断さ
 れる濃度である。
4 許容濃度の数値を用いて、種類の異なる物質についての毒性の強さを比較
 することができる。
5 許容濃度の数値は、経皮吸収がないことを前提として勧告されている値で
 ある。




(終わり)


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