作業環境測定士試験 (鉱物性粉じん)

(平成15年8月 実施分)

問1
 粉じんの測定に用いられる光の散乱に関する次の記述の(  )に入る語句
として、正しいものは下のうちどれか。

 「散乱光の量は(  )に大きく依存する。」

1 粒子の化学組成
2 粒子の密度
3 粒子の直径
4 粒子表面の反射率
5 粒子表面の色調


問2
 空気中に浮遊している球形粒子の挙動に関する次の記述のうち、誤っている
ものはどれか。

1 自然沈降による終末落下速度は、空気の粘性係数に比例する。
2 自然沈降による終末落下速度は、粒子の密度にほぼ比例する。
3 自然沈降による終末落下速度は、粒径の2乗にほぼ比例する。
4 ブラウン運動による拡散係数は、絶対温度に比例する。
5 ブラウン運動による拡散係数は、粒径にほぼ逆比例する。


問3
 空気中の粒子の挙動に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 遠心力場における粒子の移動速度は、角速度の2乗に比例する。
2 空気とともに運動している粒子の慣性による物体への衝突の確率は、空気
 の粘度に逆比例する。
3 粒子の帯電量が同じであれば、粒径が大きいほど電界中の移動速度は速い。
4 空間に温度の偏りがある場合、粒子は高温側から低温側へ向かう力を受け
 る。
5 凝集によって粒子数濃度が減少する割合は、粒子数濃度が高いほど大きい。


問4
 吸入性粉じんの濃度の測定に用いられる分粒装置に関する次の記述のうち、
誤っているものはどれか。

1 慣性衝突式T-Rサンプラーでは、総粉じんと吸入性粉じんの濃度を同時に
 求めることができる。
2 慣性衝突式分粒装置では、粗大粉じん除去用の捕集板に粘着剤を塗布する
 必要がある。
3 慣性衝突式分粒装置では、通気の際の流速が速いほど、捕集される粒子の
 粒径は小さい方へ移行する。
4 多段型分粒装置では、通気の際の流速が速いほど、捕集される粒子の粒径
 は小さい方へ移行する。
5 サイクロン式分粒装置では、通気の際の流速が速いほど、捕集される粒子
 の粒径は小さい方へ移行する。


問5
 密度 1.8 g/cm3、粒径 10 μm の球形粒子の水中における自由落下の終末速
度を測定して 4.4 × 10-3cm/s を得た。同じ条件のもとで密 2.6g/cm3、粒径
7.1 μm の球形粒子について同様の測定をしたとき、期待される終末速度とし
て正しい値に最も近いものは、次のうちどれか。
 ただし、粒子の終末速度はストークスの式に従い、また水の密度は 1.0g/cm3
とする。

1 2.2 × 10-3 cm/s
2 3.2 × 10-3 cm/s
3 4.4 × 10-3 cm/s
4 5.6 × 10-3 cm/s
5 6.4 × 10-3 cm/s

問6  質量濃度測定に用いる粉じん捕集器具に関する次の記述のうち、誤っている
ものはどれか。

1 多段型分粒装置の粒子の透過率が 50% になる粒径は、約 5 μm である。
2 ローボリウムサンプラーは、空気の吸引流量が、毎分 10〜20 リットルの
 ものが主として使用されている。
3 ハイボリウムサンプラーは、空気の吸引流量が、毎分 500 リットルのもの
 が主として使用されている。
4 粉じん捕集用のろ過材は、0.3 μm の粒子を 99.9% 以上捕集する性能を
 もつ必要がある。
5 トリフラット型流量計は、十分な注意を払えば±0.5% 程度の誤差で流量
 を測定できる。


問7  天秤に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 直示天秤では、秤量する物の質量に関係なく、感度は一定である。
2 電子天秤には、変位方式と電位方式とがある。
3 読取限度が 1 r 以下の電子天秤の多くは、秤量皿に試料を載せた際の
 荷重の変化量をストレーンゲージで検出する方式を用いている。
4 電子天秤は、直示天秤より測定精度におよぼす振動の影響が小さい。
5 電子天秤は、直示天秤より測定精度におよぼす温度変化の影響が大きい。


問8  相対濃度計に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 ピエゾバランス粉じん計の感度は、 1 μg が 180Hz に調整されている。
2 光散乱式粉じん計の検出器としては、光電子増倍管や半導体光検出器が用
 いられている。
3 光散乱式の粉じん計の感度較正には、粒径 0.3 μm のステアリン酸粒子が
 用いられている。
4 ろ紙じん埃計は、採じん量が同じでも粉じんの色調によってOD値が異な
 る。
5 光源に白色光を用いた粉じん計とレーザー光を用いた粉じん計の質量濃度
 変換係数は、同一粉じんでは等しい。


問9  粉じんの相対濃度計の質量濃度変換係数(K値)を求めるため、サンプリン
グ時間を 60 min として併行測定を行い、下記の結果を得た。

 捕集された粉じんの質量    1.10 mg 
 相対濃度計の計数値     2360 カウント 

 これらの値から求められたK値の誤差として、最も適当な値は下のうちどれ
か。
 ただし、粉じん捕集前後のろ紙の秤量誤差はそれぞれ 0.005 mg、吸引空気量
の測定誤差は 4.0%、相対濃度計の計数誤差は計数値の平方根とする。

1 5.5%
2 6.0%
3 6.5%
4 7.0%
5 7.5%


問10  次の記述の (  )に入る物質名として正しいものは下のうちどれか。

 「液相沈降処理で得た粒径 10 μm 以下の試料を、石英の最強回折線の強度
から求めるX線回折法と通常のりん酸法によって分析し、遊離けい酸含有率を
求めたところ、りん酸法での値がX線回折法より 10% ほど高かった。
この違いは、試料中に石英のほか(  )が含まれていたとすれば説明できる。

1 パーライト
2 アモサイト
3 トレモライト
4 クロシドライト
5 トリジマイト

問11  遊離けい酸の分析に用いる粒子の液相沈降法に関する次の記述のうち、誤っ
ているものはどれか。

1 粒子の密度を 2.6 g/cm3としてストークスの式から必要な沈降時間を決め
 る。
2 液相の一定距離を粒子が沈降する時間は、粒径の2乗に比例する。
3 液相沈降法では試料粉じんの懸濁液中の濃度は約1%(重量比)程度がよ
 い。
4 液相沈降法は、試料中から一定の粒径以下の粒子を採取するために用いら
 れる。
5 液相沈降法では、沈降時間は1時間以内が適当である。


問12  りん酸法による遊離けい酸の分析に関する次の記述のうち、誤っているもの
はどれか。

1 最適加熱条件は、微斜長石および石英のりん酸残 渣を求めて決める。
2 分析試料 200 mgとリン酸 15 mリットルとをコニカルビーカーに入れ、超
 音波分散したのち、加熱溶解する。
3 ビーカー内のリン酸が加熱により発泡し始めたら、その後1分ごとに内容
 物を撹はんする。
4 加熱終了後、室温まで冷却して、冷水を加え、よく振とうし、メンブラン
 フィルターによりろ過する。
5 ろ紙上の不溶解物を白金るつぼに移したのち、電気炉内で灰化し、りん酸
 残渣を求める。


問13  次の記述のうち、りん酸法による遊離けい酸含有率の分析の際、ゲル状物質
が生成しないような操作として正しいものはどれか。

1 溶解のための撹はん加熱中、コニカルビーカーを過剰に加熱する。
2 完全に室温まで冷却していないコニカルビーカーに約 65℃ の温湯を加え
 る。
3 コニカルビーカーの振とうが十分でない。
4 温湯を加えたコニカルビーカーを放置するとき、振動を与える。
5 温湯を加えたコニカルビーカーを周辺温度が約20℃ のところに放置する。


問14  X線回折基底標準吸収補正法によって粉じん中の石英を定量するための検量
線の作成方法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 基底標準板は、石英の主回折線より低角度側に回折線のある亜鉛またはア
 ルミニウムで作製する。
2 基底標準板の回折線強度は、標準石英粒子を捕集する前のろ過材を基底標
 準板に固定して計測する。
3 標準石英粒子は、再発じん法によって 7.07 μm 以下に調製する。
4 標準石英粒子を捕集するろ過材には、非晶質のガラス繊維ろ紙が適してい
 る。
5 X線吸収補正係数は、計測された金属の回折線の強度と石英の回折線の強
 度の比から求める。


問15  X線回折法による粉じん中の遊離けい酸の含有率の測定に関する次の記述の
うち、誤っているものはどれか。

1 T-Rサンプラーによって採取した 7.07μm 以下の浮遊粉じんは、直接定
 量法で測定することができる。
2 堆積粉じんを再発じんさせ、ガラス繊維ろ紙に捕集した 7.07μm 以下の粒
 子は、基底標準吸収補正法で測定できる。
3 標準添加法では、試料中の石英含有率が高いほど測定精度がよい。
4 標準添加法で添加する石英粒子の粒径は、10μm 以下でなければならない。
5 内標準物質として、弗化カルシウム(蛍石)や炭酸カルシウムが用いられる。

問16  X線管球の対陰極が銅のX線回折分析装置を用いた粉じん試料中の遊離けい
酸分析に関する次の記述のうち、回折図形上で尖鋭な回折ピークが得られなか
った理由として、最も可能性が高いものは次のうちどれか。

1 ゴニオメータの光軸が正しい位置からわずかにずれていた。
2 ゴニオメータの走査速度が標準的な速度より速かった。
3 フィルターとしてニッケルが用いられていた。
4 受光スリットの幅が通常の場合より狭かった。 
5 分析試料がメンブランフィルターに捕集されていた。


問17  堆積粉じんを液相沈降法によって処理し、十分に乾燥させた試料のうちから
4.0 mg をX線回折分析に供した。この分析の結果、石英 1.4 mg、カオリン 0.6
mg、滑石0.4 mg、クリストバライト 0.2 mg が含まれていた。
 これらの結果から計算されるこの粉じん中の遊離けい酸含有率として、正し
い値は次のうちどれか。

1 35%
2 40%
3 45%
4 50%
5 55%


問18  石綿粉じんの試料の採取に用いる平均孔径が 0.8μm のセルローズエステル
メンブランフィルターに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 フィルターの平均孔径は、顕微鏡によって求められる。
2 屈折率は、クリソタイルとほぼ等しい 1.5 である。
3 捕集率は、粒径 0.3 μm の粒子に対して 95% 以上である。
4 石綿粉じんは、フィルターの表面に捕捉される。
5 フィルターは、摩擦などによって静電気を帯びることがある。


問19  次の石綿粉じんを計数法により測定するための標本調製操作のうち、誤って
いるものはどれか。

1 フィルターの直径が 25 mm のものは、そのままもしくは2等分して標本を
 つくる。
2 フィルターは、スライドガラスの上に、採じん面を上にして載せる。
3 フィルターを透明にするためには、アセトン蒸気を用いる。
4 透明になったフィルターの上に、トリクロロエチレンを2〜3滴滴下し、
 その上に、カバーガラスを載せて固定する。
5 調製した標本は、常温下で数時間以上放置したのち、顕微鏡により計数す
 る。


問20  下記の条件で、石綿粉じんをメンブランフィルター上に捕集して位相差顕微
鏡を用いて計数を行った。その結果から得られた個数濃度として正しい値に最
も近いものは下のうちどれか。

 捕集面の直径: 3.5 cm
 捕集流量: 1リットル/分
 捕集時間: 10分間
 計数視野の直径: 300 μm
 計数視野の数: 50 視野
 計数石綿の数: 80 f

1   0.22 f/cm3
2   0.85 f/cm3
3   2.2 f/cm3
4   8.5 f/cm3
5  22 f/cm3



(終わり)


Copyrights(C) All Rights Riserved. 禁無断複製、無断転載
このホームページに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。