玉掛け作業の安全に係るガイドライン

1.事業者が講ずべき措置

(1)作業標準等の作成
事業者の方は、玉掛け作業を含む荷の運搬作業(以下、単に「玉掛け等作業」といいます。)の 安全の確保に十分配慮した作業標準を定めて、関係する労働者に周知するようにしましょう。

(2)玉掛け等作業に係る作業配置の決定
事業者の方は、あらかじめ定めた作業標準又は作業の計画に基づいて、玉掛け等作業を行うクレーン等の運転者、玉掛け者、合図者、玉掛け補助者等の配置を決めるとともに、玉掛け等作業 に従事する労働者の中から当該玉掛け等作業に係る責任者(以下、単に「玉掛け作業責任者」と
いいます。)を指名するようにしましょう。

(3)作業前打合せの実施
事業者の方は、玉掛け等作業を行うに当たっ て、玉掛け作業責任者に、関係労働者を集めて作業開始前打合せを行わせるとともに、ガイド ラインに示されている事項について、玉掛け等作業に従事する労働者全員に、周知させるようにしましょう。

2.作業上の注意事項

(1)玉掛け作業責任者が実施する事項
1. つり荷の質量等が事業者から指示されたものであるかを確認するとともに、玉掛け 用具の種類等が適切であることを確認しましょう。
2. クレーン等の据付状況及び運搬経路を含 む作業範囲内の状況を確認しましょう。
3. 玉掛けの方法が適切であることを確認しましょう。
4. つり荷の落下のおそれ等不安全な状況を 認知した場合は、直ちにクレーン等の運転者 に指示し、作業を中断し、つり荷を着地させ る等の措置を講じましょう。

(2)玉掛け者が実施する事項

1 玉掛け作業に使用する玉掛用具を準備するとともに、その玉掛用具について使用前の点検を行いましょう。
2 つり荷の質量及び形状が指示されたもので あるかを確認するとともに、用意された玉掛用具で安全に作業が行えることを確認しましょう。
3 玉掛けに当たっては、つり荷の重心を見極 め、打合せで指示された方法で玉掛けを行い、 安全な位置に退避した上で、クレーン等の運転者に合図を行いましょう。
4 地切り時につり荷の状況を確認しましょう。
5 荷受けを行う際には、つり荷の着地場所の状況を確認し打合せで指示されたまくら、歯止め 等を配置する等荷が安定するための措置を講じましょう。
6 玉掛用具の取り外しは、着地したつり荷の安定を確認した上で行いましょう。

(3)合図者が実施する事項
1 クレーン等運転者及び玉掛け者を視認で きる場所に位置するようにしましょう。
2 玉掛け者から合図を受けた際は、関係労働者の退避状況と運搬経路に第三者がいな いことを確認した上で、クレーン等運転者に合図しましょう。
3 常につり荷を監視し、つり荷の下に労働者が立ち入っていないこと等運搬経路の状況を確認しながら、つり荷を誘導しましょう。
4 つり荷が不安定になった場合は、直ちにクレーン等運転者に合図を行い、作業を中断する等の措置を講じましょう。
5 つり荷を着地させるときは、つり荷の着地場所の状況及び玉掛け者の待機位置を確認した上で行いましょう。

(4)クレーン等運転者が実施する事項
1 作業開始前に使用するクレーン等に係る点検を行いましょう。
2 移動式クレーンを使用する場合は、据付地盤の状況を確認して打合せ時の指示に基づいて据え付けましょう。
3 運搬経路を含む作業範囲の状況を確認しましょう。
4 つり荷の下に労働者が立ち入った場合は、直ちにクレ ーン操作を中断するとともに、その労働者に退避を指 示しましょう。
5 つり荷の運搬中に定格荷重を超えるおそれが生じた場合は、直ちにクレーン操作を中断して、玉掛け作業責任者にその旨を連絡しましょう。

3.玉掛け方法の選定
事業者の方は、玉掛け作業の実施に際しては、ガイドラインに示されている事項に配慮して作業を 行わせるようにしましょう。
4.日常の保守点検の実施
事業者の方は、玉掛け用ワイヤロープ等の玉掛用具について、以下に従って点検及び補修等を行いましょう。
(1)玉掛用具に係る定期的な点検の時期及び担当者を定めましょう。
(2)点検については後で示す「主な玉掛用具の点検方法及び判定基準」により実施するとともに、 点検結果に応じて必要な措置を講じましょう。
(3)点検の結果により補修が必要な場合は、加熱、溶接又は局所高加圧による補修は行わないよ うにしましょう。
(4)玉掛用具の保管については、腐食、損傷等を防止する措置を講じた適切な方法で行いましょう。

(1)玉掛け用ワイヤーロープ
点検部分 点検方法 判定基準
ワイヤーロープ部 1 ワイヤロープ1より間の素線の断線の有無を目視で調べる。
2 ワイヤロープの摩耗量をノギス等で調べる。
3 ワイヤロープのキンクの有無を目視で調べる。
4 ワイヤロープの変形の有無を目視で調べる。
5 ワイヤロープのさび、腐食の有無を目視で調べる。
6 アイ部の変形の有無を目視で調べる。
7 アイの編み込み部分の緩みの有無を調べる。
1 素線の数の10%以上の断線がないこと。
2 直径の減少が公称径の7%未満であること。
3 キンクがないこと。
4 著しい変形がないこと。
5 著しいさび、腐食がないこと。
6 著しい変形がないこと。
7 緩みがないこと。
圧縮止め部 1 合金の摩耗量及び傷の有無をノギス等で調べる。
2 変形及び広がりの有無を目視で調べる。
1 合金の厚みが、元の厚みの2/3以上あり、著し い傷がないこと。
2 著しい変形、広がりがないこと。

(2)玉掛け用つりチェーン
点検部分 点検方法 判定基準
チェーン 1 き裂の有無を目視で調べる。
2 変形及びねじれの有無を目視で調べる。
1 き裂がないこと。
2 著しい変形、ねじれがないこと。
リンク等 1リンク、フック等のき裂の有無を目視で調べる。
2 変形及びねじれの有無を目視で調べる。
1 き裂がないこと。
2 著しい変形、ねじれがないこと。

(3)ベルトスリング
点検部分 点検方法 判定基準
ベルト部 損傷(磨耗、傷)の有無をノギス等で調べる 1  磨耗は全幅にわたって縫目がわかり、たて糸の損傷及び縁 の部分のたて糸の損傷、著しい毛羽立ちが認められないこと。
2  傷は幅方向の幅の1/10又は厚さ方向に厚さの1/5に相当する傷 が認められないこと。
3  使用限界表示のあるものは、その限界表示が著しく露出又 は消失が認められないこと。
アイ部 損傷(磨耗、傷)の有無を目視で調べる 1  縫目がわかり、たて糸の損傷が認められないこと。
2  目立った切り傷、すり傷、ひっかけ傷等が認められない
3  縫糸の切断が認められても、アイの形状が保たれていること
4  縫製部の剥離が少しでも認められないこと。
金具 損傷(変形、傷、き裂、腐食等)の有無を目視で調べる 1 変形が認められないこと。
2 著しい当たり傷、切り傷がないこと。
3 き裂がないこと。
4 著しい腐食がないこと。

(4)フック
点検部分 点検方法 判定基準
フック 1 口の開き、ねじれの有無を目視で調べる。
2 き裂の有無を目視で調べる。
1 ロの開き、ねじれがないこと。
2 き裂がないこと。

(5)クランプ
点検部分 点検方法 判定基準
外観及び
作動
1 変形、ねじれの有無を目視で調べる。
2 カム、ロックの機能の異常の有無を調べる。
3 き裂、錆び、アークストライクの有無を目視で調べ る。
1 変形、ねじれがないこと。
2 機能に異常がないこと。
3 き裂、著しい錆び及びアークストライクが ないこと。
カム及び
ジョー
1歯の欠け、磨耗の有無を目視で調べる。
2 き裂及び錆びの有無を調べる。
1 歯の欠け量、磨耗量が製造者が指定した使用限度内であること。
2 き裂及び著しい錆びがないこと。
各部のピン 1 曲がりの有無を目視で調べる。
2 磨耗の有無を目視で調べる。
1 曲がりがないこと。
2 磨耗がないこと。

(6)ハッカー
点検部分 点検方法 判定基準
ハッカー 1 のび、ねじれ、開き、寄りの有無を目視で調べる。
2 爪の当たり傷、爪先のだれ、爪の損傷の有無を目視 で調べる。
3 き裂の有無を目視で調べる。
1 のび、ねじれ、開き、寄りがないこと。
2 爪の当たり傷、だれ、損傷がないこと。
3 き裂がないこと。
アークストライク アークストライクの有無を目視で調べる。 アークストライクがないこと。

注)アースとライクとは、アーク溶接の際、母材の上に瞬間的にアークを飛ばし直ちに切ること又はそれによって起こる欠陥をいう。ここではアーク痕のことである。

(7)シャックル
点検部分 点検方法 判定基準
本体 1 開き、縮み、ねじれ、磨耗の有無を目視で調べる。
2 き裂の有無を目視で調べる。
3 ねじ部の磨耗又はつぶれをアイボルトを用いて調べる。
1 開き、縮み、ねじれ、磨耗がないこと。
2 き裂がないこと。
3 異常がないこと。
アイボルト、
ボルト及びピン
1 曲がりの有無を目視で調べる。
2 き裂の有無を目視で調べる。
3 磨耗の有無を目視で調べる。
1 曲がりがないこと。
2 き裂がないこと。
3 磨耗がないこと。
上記資料は大阪労働局(社)日本クレーン協会近畿支部発行のクレーン等の災害発生の状況と災害事例より抜粋しております。


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